転職しながら6社で人事一筋15年以上やってきたもしけです。
今回は衛生委員会についてです。
50名以上の従業員を雇っている経営者の方や人事労務責任者の方。
急に衛生委員会作って、月に1回やらなきゃダメって言われて戸惑ってません?
そして、「めんどくせー!」って思っていませんか?
わかります!
私もそうでした!
従業員が50名って、会社のステージでいうとビジネスが軌道に乗ってきてイケイケドンドン!
さあこっからさらに売上伸ばしていくぞ〜!!って思っている矢先ですからね。
でも、どうかその気持ちは一旦置いといて頂いて欲しいんです!
是非とも衛生委員会を立ち上げてください。
何故なら会社の組織力強化に、非常に役に立つからです!
というわけで、衛生委員会の立ち上げや管理・運営はもちろん、上場審査の為の労務対応まで経験している私が、衛生委員会のメリットを紹介します。
最後までお付き合いくださいませ!!
目次
衛生委員会とは?労働安全目的で設置します。
会社経営や人事をやっている人ならこのフレーズを聞いた事がある人は、たくさんいると思います。
設置の義務について定められている法律は労働安全衛生法です。
安衛法の主旨は企業の安全配慮義務を守らせること
企業の本質は利益の追求。
その事を実現させる為に皆、より沢山の売上を作ろうと頑張るわけですよね。
でも、その事だけに集中しようとしすぎると、売上を稼ぐ為に過度な残業を従業員にさせてしまう。
または製品を作る機械が故障しかけていて危ないのに交換するお金がもったいないからと、そのまま使ってしまう。
などなど、働くヒトやモノへの扱いが後回しになってしまいます。
その結果、大きな事故に繋がったり、従業員が怪我や病気してしまったりなど、危険な職場になってしまいます。
それを防ぐ為に、会社は利益を追求しつつも、職場や従業員の安全に関して気遣って改善しなさいと法律で決めているのが安全配慮義務です。
衛生委員会は健康と安全チェックの場

安全配慮義務と一言でいっても、自分の会社がどのくらいできているかというチェックが社長や各責任者の主観だけでは不十分です。
そこで、そのチェック体制を機能として設けるように法律で定めたのが安衛法の衛生委員会というわけです。
メンバー構成に欠かせないのが産業医と衛生管理者
衛生委員会一人二人だけで実施するのではなく、メンバーを複数人揃えてやります。
その中で必ず専任しなければいけないヒトがいます。
それは、産業医と衛生管理者です。
産業医は、企業で健康管理を実施するお医者さんの事。
衛生管理者は、労働環境を管理する為の知識経験を学習して試験に合格する必要のある国家資格です。
この2つも労働者が50名以上の会社は設置するように安衛法で義務付けられています。
月一の衛生委員会の開催と議事録の作成
さらに、この衛生委員会のメンバーで集まって、下記のような議題について月に一回話し合います。
- 職場全体の労働時間の状況
- 労災の件数
- 車両事故の回数(車両がある場合)
- その他職場改善の為の施策や知識の共有 など
さらに委員会終了後、内容を議事録にしておく必要があります。
これ、割と面倒くさいです。
※特に労働時間管理は、かなり重要で衛生委員会以外の場でも活用する機会が多いです。
下記管理手法を参考に実施してください。
衛生委員会導入のメリット5点
さて、前置き長くなりました。
説明してきた通り準備や実際の開催に手間と時間が、かかります!
それでも私は、衛生委員会はメリットが大きいと実感しております。
どのようなメリットがあるのか、実際に経験して感じた5点、シェアさせてください!
①コンプライアンス体制が強化できる(安全管理体制)
メリットの一つ目はそのまんま、コンプライアンスです。
安衛法で定められた義務規定なので、労働者が50人を超えたらやらなければいけない事です。
言い換えれば、社内外にちゃんとやるべき事やっているんだなという事が直に伝わるアピールポイントになります。
なので、このメリット①だけでもやった方がいいと言えるでしょう。
また、この衛生委員会の設置と開催、そして毎月の議事録作成は、上場準備で必ず見られる労務管理ポイントです。
上場を見据えている会社はやっておきましょう。
②労働環境改善施策が浸透しやすい
メリット2点目は、施策の浸透し易さが変わります。
一言でいうと、衛生委員会が施策のハブ役になります。
衛生委員会のメンバーは、営業部や管理部等の各部署から1名づつ選出するケースがほとんどです。
メンバーの役割は、衛生委員会で話した事を、各部署への共有と情報収集です。
例えば人事労務の業務で、”定期健康診断の取りまとめ”があります。
定期健康診断は基本、全労働者が受けなければならず、受診率は100%である必要があります。
定期健康診断のスケジュールと予約日を、衛生委員会の場でメンバーに周知し、各部署に健康診断を受けるように指示してもらいます。
するとメンバーは自分たちの部署にスケジュールを持ち帰り報告をし、業務都合で予約日に受けられない場合などは、部署内で業務調整をしたりしてもらいます。
そうすることによって、定期健康診断の業務がより効率的に完結できるわけです。
なので、衛生委員会のメンバーに共有して、受診をコントロールしてもらう事で部署内で完結できちゃうので効率いいですよね。
③職場環境改善の有益な情報が得られる
メリットの3点目は使える情報収集ツールになるという事です。
衛生委員会のメンバーは、基本各部署から一人ずつで構成していきます。
そうするとメンバーの人たちには、必然的に同じ部署で働く人達の、職場環境や労働時間等の情報が入ってきます。
また、同じ部署のヒトも衛生委員会のメンバーであるという事を知ってますので、職場で悩んだ事や、残業が多くて疲れている等の情報が集まってきます。
相談を受けた情報を、衛生委員会で共有してもらう事により、対策が会社全体で取れるという仕組みです。
④外部と連携する為、客観的な意見がもらえる(グローバルスタンダード)
4点目ですけど、これは産業医をどう活用するかによります。
先に説明した通り産業医は、会社の健康管理をするお医者さんであり、基本的には社外のお医者さんと産業医の業務委託契約をします。
産業医は、産業医としての役割や外部との連携だけでなく、実際の医療の現場等、それぞれのネットワーク内で活動しています。
言ってみれば、健康管理のプロです。
衛生委員会の時間を使い、産業医に下記ポイントをお話してもらいます。
特に他社施策のシェアは、コンサルの情報をもらっているのと同じレベルの情報です。
自社のスタンダードだけでなく、世の中のスタンダード。
つまりグローバルスタンダードを実現するには、外部の意見や情報が絶対必要です。
積極的に活用しましょう!
⑤組織活性化につながる

最後の5点目は今まで紹介したメリット4つを把握し、実行する事で、あとから得られる結果です。
具体的には、下記のように組織へシナジー効果を発揮します。
会社がコンプライアンスを遵守しようと衛生委員会を設立し運用している。→結果会社が労働者の健康を気遣う会社であると言うメッセージになる。
他部署の従業員を衛生委員会メンバーとして、参加してもらい健康管理の実務に参加してもらう。→人事労務管理の実務と意識をもった人が会社内に増え、健康管理の意識が組織で醸成できる。
各部署から悩みや不満が集められるというのは、一見大変だが、対策を打ち、解決していけば、従業員との信頼関係が築ける。
産業医を主として、健康管理の情報やノウハウのシェア内容が社内に蓄積される→会社全体に健康管理・職場管理のグローバルスタンダードの土台が築け、意識改革に寄与する。
つまり、衛生委員会を基礎として、労働環境改善の為の情報やノウハウが蓄積され会社への従業員満足度(ES)に繋がるわけです。
まとめ:へたなツールより、よっぽど使える衛生委員会
さて、今までのまとめるとこんな感じです。
世の中に、労働者の満足度を上げる為に色んな福利厚生のサービスや、研修サービスなどがあります。
そのサービス自体を活用するのは悪い事ではないですが、どうしてもお金はかかります。
お金をかける事より、先ずは衛生委員会の仕組みをフル活用すれば、土台の職場環境整備は十分です。
そうすれば、お金を別のリソースに集中投入できますので、そういった意味でも衛生委員会の設置と運用実施はメリットが大きいです。
是非とも試してみてくださいませ!
以上になります。
最後までお付き合いくださりありがとうございました!!