人事15年やっていながら、ちょい難しめの人事系の本を読むと眠くなるもしけです。
今回はコース選択制度の導入についてです。
今回はこんな悩みを考えている会社さん向けの内容です。
導入する効果でいうと、人事制度に専門職用給与レンジルートを一つ作る事で、ストレスなく専門職の人に働いてもらう事ができます。
会社の創業期は、専門職の人はいませんでした。
社長が営業したり、経理の仕事したりする。
役員がパソコンを買ってきてセットアップしたり、コピー機が壊れたら業者呼んで色々したり、ホームページはヒィヒィ言いながら自分で立ち上げて作ったりなど。
皆がなんでも屋で、なんでもやってきたでしょう。
それが、ある程度規模が大きくなると、経理職・エンジニア・総務・WEBデザイナー等。
それぞれの役割が細分化して専門化していく。
これは会社の成長として喜ばしい事です。
でも一方で、一つの大きな課題が発生します。
それは”専門職それぞれの処遇ってどうやれば良いんだろう”というものです。
なので、専門職の人にこの制度当てはめると無理がでてきます。
私が冠婚葬祭会社で人事制度を導入した時の話ですが、
昔ながらの総合職スタッフがメインだったのが、途中からIT系事業を立ち上げる事になり、十数名のIT専門職の人が入社しました。
その人達用に専門職用の人事制度を作った時の話をシェアします。
お付き合いくださいませ。
※関連記事として、人事制度を構築した時の記事を下記に紹介します。
人事制度を作る時の順番紹介。一番最初はコンセプト設定しかないって話!
賃金制度改定のポイントは会社メッセージの理解。人事制度をつくる③
目次
コース選択制度はIT職種の従業員がいるなら必須
前提として、会社に、人事制度の骨となる等級制度をある事が条件で進めます。
※等級制度の詳細についてはコチラ
等級制度改定時のコツはメリット・デメリットを知る。人事制度をつくる②
等級制度というのは、人事評価制度の土台の部分であり、会社の中での役割とそれに紐づく報酬等がルール付けられランク(等級)付けられたものです。
下の図のようなものです。
これは等級制度の最もオーソドックスなものです。
会社内での社員を、総合職とマネジメント職に区分されているのがわかると思います。
総合職と同じように処遇することは難しい
組織が大きくなって、それぞれ分業化・専門化が進みます。
すると、より効率的に組織を成長させるようになります。
しかし、その後専門職に進んだ人達に報いる給与や役割等が、明確になっていないとどうなるでしょうか?
いずれ自分の腕を磨いた後、他の会社へ転職してしまう可能性も高くなります。
せっかく育った専門職の人も将来、社内で活躍してもらいたい。
会社のメッセージとして、そう思うのであるならば専門職用のルートを作りましょう。
職群を3つに分けよう

専門職用のルートの入れ方ですが、その名の通り、職のカテゴリである職群を専門職用に作ります。
各職群の定義は下のような感じです。
総合職群
いわゆる幹部候補として入社し、会社の主軸となる商品・サービスを売る営業や販売職を担い、ジョブローテーションで様々な役割を担い、将来的にマネジメントを目指してもらう職群です。
各企業によって構成は微妙に異なりますが、総合職の中でも大体4段階にレベルが分かれています。
マネジメント職群
総合職群のとなりに位置して、更に報酬面で上のレベルで構成されているのが、マネジメント職群です。
- 課長
- 次長
- 部長
- 本部長
会社によって名称は異なりますが、いわゆる管理職として、部下の育成や管理を担います。
※会社で人事制度説明会等、方針変更の際にキーマンの役割をするのも、この職群の人立ちです。詳しくは下記記事で紹介してます。
人事制度説明会のやり方はステップ5点でOK!お客様目線を忘れずに。
会社の頭脳や神経の部分を担うポジションなので、一般的には、総合職より上の報酬レンジに位置して処遇をします。
専門職群
ここが、本題です。
総合職のように、色んな仕事を、ジョブ・ローテーションで経験しない。
マネジメントのように部下の管理や育成、連結ピンの役割に特化しない。
専門知識やスキルを駆使し、会社で任されたミッションやプロジェクトを達成する事に特化した役割の為に作ります。
報酬レンジはマネジメント職群と同等で作る
専門職群の報酬レンジは、マネジメント職と同等のものとします。
この職群の人は、会社の為に様々な役割を変えて成長するゼネラリストではなく、
ゼネラリストではできない、専門知識とスキルを要するミッションを、こなすスペシャリストだからです。
言い換えれば、社内ではユニークな存在。
外部の労働市場的な価値も高い人達。
その稀少性に報いるレンジにしましょう。
3つの職群で役割を分けられる
職群を3つに分ける事で、会社で更に専門化が進みます。
会社経営をしていく上で出てくる、イレギュラーバウンドの処理は総合職やマネジメント。
会社でIT事業を新規で行い、その起ち上げを実施するなどは専門職。
それぞれの得意分野で自分自身を活かせるようになるわけです。
多様な人材の確保にも有効
この職群の区分けが出来ていないと、ゼネラリスト・スペシャリスト双方にストレスを感じさせる組織になってしまいがちです。
とか、結構ありがちですよね。
お互いに役割区分を明確にしておく事によって、曖昧な役割をなくすことができ、仕事に専念できる体制が作れるというわけです。
職群で育成人材にコース選択をできるようにする

職群を3つにする事が出来たらせっかくなので活用したいですよね。
なので次は、この職群を使ってキャリアコースを作ります。
人材の長期育成にも使える
例えば新卒社員や若手の従業員をポテンシャル枠として採用している会社等では、人材活用やキャリア開発等にも非常に有効な施策です。
今まで、そのような選択肢しかなかったのが、スペシャリストに進みたいと考える社員を配置できるようにします。
結果、人材の有効活用や離職防止、本人のモチベーションアップにも繋げられます。
まとめ:会社のさらなる発展の為に職種を細分化しよう
- 会社は大きくなってくると、様々な専門職の人が増える
- 専門職の人は働き方やキャリア志向がゼネラリスト志向の人とは異なる
- 総合職やマネジメント職と同じ処遇やキャリアパスでは本人のニーズとあわない
- 専門職の人を活用・育成したいならば、現在の人事制度を3つのカテゴリ(職群)にわけて構築するとよい
- 職群を本人の志向で選択できるようにする事で、人材活用に有効な手段となる。
会社が大きくなると、色々な人が入ってきます。
生まれも違えば、育ちも違う
もちろんキャリアや仕事、会社に対する価値観も違ってきます。
そんな中で、
ゼネラリスト志向なのか、スペシャリスト志向なのか
仕事を通じてどう成長していきたいのかを、会社で道を示してあげる。
受け皿を作ってあげることで、会社への帰属意識は向上します。
是非とも試してください。
以上になります。
最後までおつきあいくださり、ありがとうございました!