転職は数々ですが、人事は一筋15年のもしけです。
本日はメンタル不調時の従業員面談(以下:メンタル不調面談)の話です。
昨日まで普通に元気に仕事を一緒にしていた社員が、次の日
と書かれた医師の診断書を持ってきて。
と言われた時、あなたが上司や人事だったらどうしますか?
焦りますよね。
正直どうしたら良いのかわかんないですよね。
とにかくギクシャクして、会話にならなかったり、フォローしきれなかったりは避けたいです。
私は、10年で50人前後のメンタル不調面談を実施してきました。
数にすると少なく感じるかもしれませんが、あまり多いと逆に怖いでしょう。
※そんな私のプロフィールはコチラです。
正直経験する機会は、そんなに多くはないです。
ただ、一人ひとりの面談には最新の注意と要点を抑えて面談してきました。
結果順調に休職させて、復職するまでを完遂できたり、あるいは不調が解消した為、休職させずに済んだりする事も沢山できました。
そんな私が、これさえ気をつければメンタル不調面談はOKという、やり方のコツを5個のStepに分けてわかりやすくシェア致します。
最後までお付き合いくださいませ。
目次
面談対応の5つのステップ
早速ですが、前提でお話しておきたい事があります。
それは、
という事です。
そうなんです、当たり前なんです。
当たり前なんですが、実は、お互いにその事を忘れたまま面談をしてしまいがちなんです。
一方は医師の診断書をもらってくるくらい、体調が悪く、気持ちが追い込まれていて余裕がない。
もう一方は、昨日まで元気だった人からの突然のカミングアウトで、どうしたら良いのかわからない。
そんな状況なので、言葉のキャッチボールがスムーズにできない状態なのです。
その前提を理解した上で、次から紹介するステップ通りに会話をしていきましょう。
Step1:先ずは傾聴すること

はい、先ずはコミュニケーションの基本の部分です。
相手の話をきく事です。
それも”聞く”ではなく”聴く”の方です。
面談している従業員は、体調が悪く、
不安を中心とした様々な感情を抱えていらっしゃる状態です。
そんな時に自分が話を遮って、伝えたい事を伝えたとしても、
まあ伝わりません。
なので、先ずは聴きましょう。
しっかり相槌をうち、目を見て、根気よく聴く。
一方では、
という軸で聴きましょう。
その事が後のステップで有効になってきます。
Step2:辛さにとにかく共感する
2つ目は共感です。
これも当たり前と思われるかもですが、あくまで”辛い”という事に対しての共感です。
ステップ1でも話をしましたが、相手はありとあらゆる感情が溢れかえっている状態です。
その中には、体調を崩してしまった会社や上司への不満や怒りも少なからずあります。
そこにも共感し、一緒に不満や怒りへの理解を示すと、その場では良い方向に進んだように見えます。
しかし、その後が問題で、面談が終わった後、本人が上司と話す機会があってコミュニケーション取る中で、
っていう事が第三者に伝わるとどうでしょうか。
自分としては面談時に、安心させてあげようと、よかれと思ってやった事が裏目に出ます。
言われた上司はいい気分しないでしょうし、その後休職・復職などの対応をする時に、その上司から協力を得られにくくなります。
なので、この面談での共感はあくまで
「辛い」
という気持ちへの共感です。
あくまで次のステップに進むために、気持ちを落ち着けてもらう為に、共感してください。
Step3:課題のすみ分けをする
さて、ここからが具体的な実務になります。
ステップ2までを心がけて面談をしていると、相談者の気持ちも落ち着いてきてます。
ステップ3は課題のすみわけです。
今まで話しをしてきた中で、問題点がぼんやりにでも理解できていると思います。
例えば
などです。
そこに戻って話をし直します。
会社で対応可能なものと、自分で対応してもらうしかないものをわける。
今回の原因になっている話に再度フォーカスして、話をさらにします。
すると会社で対応できるものと、自力で解決できるものに分けることができます。
これがカウンセラーだったりセラピストであれば、話を聴いて自力で解決するアプローチをサポートするのですが、ここでもう一度自分の立ち位置を振り返っておきましょう。
今、あなたは会社を代表してその人と面談をしている立場です。
今回メンタル不調になった原因と問題を明確にして、会社として解決できる方法を考えるのがあなたの役割です。
なので、会社側で対応できそうな事をピックアップしてください。
また、メンタル不調の原因がパワハラによるものである場合も考えられます。その時は、下記の記事を参考に、厳格に迅速に対応しましょう。
パワハラ防止法対策できましたか?今からでもできる準備方法ご紹介!
Step4:会社で対応可能なものを具体的に突き詰めていく(課題解決の具体化)

ステップ3で課題すみ分けができたら、具体的に手をうつ方法を考えていきます。
例えば今回の面談対象者の方は、仕事量の多さからくる長時間労働。
それと、これから先の仕事範囲拡大のプレッシャーを過度に感じて体調を崩してしまったという事とします。
- 仕事を普段から真面目にやっていて、よくやっていると上司から褒められ、期待されている。
- そして任される仕事量がどんどん増えていって限界一歩手前まで来ているのに、上司は今度私に、新プロジェクトのリーダーを任せようとしている。
- 断ろうにも、せっかく期待してくれているのに裏切ってしまうのが申し訳ないと思いできない。
- 自分が真剣に悩んでいるのに上司だけが勝手に盛り上がっているのを見て、最近は上司にも不満をもつようになった。
結構ありがちなパターンですね。
ステップ3で行った課題のすみわけでは、
- 業務量
- 上司の采配
という2つが会社で解決できるものに区分できます。
ステップ4では、この2つについてどうやって解決していくかを目の前で提案していく事をします。
①の業務量の部分に関しては、
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等を本人の主観や希望を確認しながら詰めていきます。
上司に言えないという事に関しては、なぜ言えないかを整理してあげます。大抵は
です。
これはおおきな勘違い。
自分の責任を全うする為だからこそ、断ったりSOSを上げたりする事は、むしろ正しい事です。
この事を本人に説明し、上司には人事から伝える事をしてもよいかと本人に同意をとりましょう。
Step5:今後のスケジュールを決める&産業医面談を薦める
ここまでできたら、後は具体的にどう進んでいくかを本人に伝えます。
繰り返しになりますが、面談した対象者は今弱っていて、不安でいっぱいです。
人間不安という感情が主に発生する時は、先の事がわからない時です。
”いつ〇〇する”というのを、明確にしながらお話を進めてあげましょう。
※産業医については下記記事で紹介しています。
衛生委員会が意味ないと思ってる?実は使える理由シェアします!
まとめ:メンタル不調面談のコツは対話
以上メンタル不調時の従業員面談を、5つのステップに分けてお話させていただきました。
とにかく自分との面談で
- 安心してもらう事
- 不安を取り除いてもらう事。
これが大事です。
ちょっと丁寧過ぎるかなと思う部分もありますが、メンタル不調は長期戦になる可能性もあります。
今後のやり取りの事を考えると、最初はこのくらいやった方が良いです。
長期戦になるはずが、この面談だけの終わらせる事ができる可能性もあります。
だから慎重にやりましょう。
最後に注意点を一つ、
面談の内容は、上司への報告に必要なもの以外は漏らしてはダメです。
信用なくします。
上司への報告時も話す、情報は最小限に抑えましょう。
以上になります。
最後までお付き合いくださりありがとうございました!