人事歴15年以上、転職5回以上のもしけです。
今回は、目標管理制度(MBO)の書き方のコツについてです。
- MBOを導入してみたが、使い方を聞かれてうまく説明できなくて困っている人事制度担当者
- 実際に目標を設定してみたが、上司(または部下)に伝わらず、どう書けば良いか知りたい方
- MBOを使いこなすコツが知りたい方
人事制度、評価制度を導入している企業ではメジャーであるMBO。
導入するにはしていますが、使いこなすまで考えて導入している企業は少ないのではないでしょうか。
使いこなすとなると中々奥が深いのですが、シンプルに活用する一番のコツは
上司と部下との間に共通言語を作る
という事です。
KPIとKGIの違いがわかる!目標達成の仕掛けに有効です。や
目標設定方法はSMARTモデルで決まり。MBOのコツでも紹介していますが。
上司と部下との共通言語を作る為に、色々な仕掛けを施していく事がMBOを活用する一番の近道になります。
今回は仕掛けの一つとして、定量目標と定性目標に分け方と必要性についてお伝えします。
最後までお付き合いくださいませ。
目次
目標管理制度(MBO)とは?
目標管理制度(MBO)は、評価制度としてメジャーな仕組みです。
通称MBOとも言いまして、”Management By Objective”の略です。
仕組みの説明をすると下記の通りです。
★目標管理制度(MBO)とは
- 半年や一年の初めに
- 年度の目標を一人ひとりが定めて
- 上司と部下が、その目標に向かって一緒に仕事をして
- 期間の終わりに、目標に対しての達成度を評価する
である。
目標管理制度(MBO)の結果は、会社で昇給など給与査定の参考としたり、またはボーナス査定に使ったりします。
会社によって使い道は異なりますが、上司と部下で目標を設定して、上司と部下で目標を達成しますと、自発的に設定します。
なので、会社から強制的に設けられたノルマとは異なり、上司と部下で目標に対して、作戦を考える事が大事になってきます。
マネジメントとしても、セルフマネジメントとしても優れたツールとなっていて、多くの会社で採用している制度です。
目標設定って実は結構大変である
目標管理制度(MBO)が優れたツールである事は事実なのですが、一つ欠点があります。
それは、目標設定が難しいのです。
そう思われた方もいらっしゃると思いますが、自分だけの一人よがりな目標を立てるならばそれでいいのです。
ただ、会社で立てる目標は、仕事が関係している必要があります。
仕事に関係してくるという事は、上司が目標を理解する必要があります。
ここが目標設定の難しいところです。
上司に目標を理解してもらうのが大変
目標を決める時は、必ず相手がいます。
仮にあなたが、一般職の人なら部長とか課長等が、直属の上司になりますよね?
当たり前の事ですが、あなたと上司は、別々の環境で育ってきた別々の人間です。
価値観は別々です。
言葉遣いも違えば、1つの言葉に対しての解釈の仕方も異なります。
自分とは違う世界で生きてきた上司が、別の世界で生きてきたあなたが作った目標を見て、同じ解釈ができて同じ目標に向かって進む!
これが目標管理制度なのですが、この「同じ」が凄く難しいのです。
目標を定量目標と定性目標に分けて考えよう

目標設定を難しくしているのは、解釈が多種多様になる事である。
という事を、これまで説明してきました。
では、どのようにすれば目標設定ができやすくなるでしょうか?
そのコツが、共通言語を作ることになります。
共通言語はどんなものかというと、例えば交通ルールがそうです。
交通ルールと同じように上司と部下の間に、共通ルールを作ってしまえばよいのです。
目標管理制度(MBO)における共通ルールの代表格が【定量目標】と【定性目標】になります。
定量目標は【数字】なので、シンプルで解りやすい
定量目標は、数字化できる目標の事です。
例えば「売上前年対比105%」とか「新規受注先を5件増やす」等は、主に営業で使います。
先に説明した通り、上司は、あなたとは別の世界で生きてきた人間です。
でも、【売上】だったり、【新規案件】という言葉は、会社で働いていて営業を経験している人なら誰でもわかる共通言語です。
あなたが営業で、この目標を設定するとしたら、話は早いですよね。
上司も一発で目標を理解する事ができます。
定性目標は、未来の【状態】がイメージできるように
定量目標は、シンプルですが、問題は数字を追いかける事をしていない職種の人です。
私が長年やって来た、人事もまさにそうです。
私「会社のコンプライアンス向上と社員の健康促進の為に、健康診断受信率を100%にします。」
上司「いや、コンプライアンス向上はともかく、健康診断受信したからってイコール健康じゃないでしょ?」
なるべく数字化してわかりやすく、共通言語する事が目標管理制度のセオリーです。
セオリーですが、数字化できる仕事を、みんながやっているわけではないのが現実だったりします。
数値化できない仕事を、目標化する時に使うのが定性目標です。
定性化、つまり数字に表しづらいお仕事をしている場合のコツは、
”ゴールの状態”を見える化する事
です。
この半年後(もしくは1年後)に目標を達成する事で、どのような状態になるのか?
を定めます。
さっきの健康診断の例で行くと「健康診断受診率100%」を達成した後に、見える状態を目標設定するのです。
- 健康診断受診率を100%にする。
- 受診率100%にするには、かなりの頻度で受診を催促しなければいけない
- ただ単に「受けてください」だけでは効果が薄いので、健康診断で重大な病気が見つかって、本人も会社もリスクを回避したエピソードをリリースする。
- 最終的に受けない人をマネジメント会議などで報告する
- そんなこんな繰り返していると、会社のコンプライアンスに関するリテラシーが向上する。
- 結果、目標は「会社の労務リテラシーの底上げをし、会社内、会社外によい影響を与えられる状態にする。」という目標になる。
上司も部下も、目標を見て同じ絵が見れるようにする
繰り返しになりますが、一人ひとり育ってきた環境や価値観が違う中では、目標設定は上手くいかないです。
それを解決する方法はただ1つ!
共通言語を作る事!
例えば、【売上1000万円達成】っていう目標があったとすれば、営業部にとって【売上】と【1000万円】ってまさに誰が聞いてもわかる言葉です。
特に【1000万円】は日本人の共通言語ですよね。
このように、いかに上司と部下の間に共通言語を増やすかで、目標管理制度の成功の有無が決まってきます。
まとめ:目標管理制度の目的は上司と部下のコミュニケーションでしかない
- 目標管理制度(MBO)はメジャーな評価制度のツール
- 部下と上司と目標を握って追いかけるというシンプルな仕組み
- シンプルだが、目標を共通認識を持つ事が難しい
- 難しい理由は、部下と上司の解釈がズレるから
- 解釈ズレが起こらない為に、定量目標や定性目標で共通言語を作る
- 共通言語を作るとマネジメントツールとして活用できるようになる。
人事制度の目的は、組織の中で、いかに成長してもらうかという人材育成が目的です。
※人事制度については下記記事でも紹介しております。興味がある方は是非
目標管理制度(MBO)も成長を手助けするコミュニケーションツールの一つです。
極論ですが、上司と部下とでコミュニケーションがしっかりとれてて、その成長度合いを、経営者(最終評価者)に伝える事が出来れば、人事制度っていらないんです。
でも、上司の一人ひとりの価値観や解釈、コミュニケーション方法は、みんなバラバラになります。
ある上司は、コミュニケーションがすごく上手で、ちゃんと最終評価者に評価が伝えられる。
一方あまり上手でない上司は、うまく評価が伝えられない。
上司によって評価のバラつきが出て不公平が生じてしまう。
その防止の為に目標管理制度(MBO)等、評価制度を導入しているわけです。
共通言語があれば、コミュニケーションはとりやすい
皆さんは、初めてであった人と話す時、コミュニケーションをとる為に何をしますか?
恐らく、共通の話題を探しますよね?
人を評価する、会社で任せるお仕事の役割を決める。
その役割に応じた目標を決めて、日々進捗管理をするっていうと小難しいですが、一緒に仕事をする為の共通の話題を作るって考えると、気が楽になりませんか?
目標管理制度(MBO)も”共通話題作りツール”だと思うと、共通の話題を定めておく事でよいと言うことがわかります。
共通言語を定めて、普段から使って、話をすれば自然と評価につながる。
考えてみればこれ程、便利なツールはないです。
共通言語を決める為に、定量目標と定性目標を活用して目標設定してみてください。
以上になります!
最後までお付き合いくださりありがとうございました!