人事を15年以上やってきて、数々の失敗をしてきたもしけです。
今回はOKRとMBOについて
こんな事を思っている、人事担当者の方向けにお伝えします。
結論を先にいうならば、目標管理や進捗管理等に細かいコミュニケーションを取って、チーム単位の組織を活性化させたい!
そう思っているならOKRの採用を是非ともおすすめします!
なぜそう言い切れるかと言うと、私自身が人事評価制度を構築した時に、MBOのみを導入して、うまく回らなかった失敗経験があるからです。
※MBOに関しては下記記事で紹介しておりますので、興味がある方は是非見てください。
目標管理制度(MBO)の書き方のコツです。定量目標と定性目標のお話。
過去の失敗情報で、成功に繋げられる事は広い歴史とかでも定石です。
というわけで私の失敗談のご紹介をしていきます。
是非ともお付き合いくださいませ。
目次
OKRとMBO
2つを理解する為に、先ずは正式名称を知っておきましょう。
改めて並べてみると違う言葉ですが、実は共通点があります。
それは、2つとも”目標”にフォーカスしているという点です。
Oは同じ目標
会社で働く上で目標を掲げて置く事は大事です。
会社をつくる目的は、理念を実現する為。
その目的を達成する為には、沢山の努力や行動をしていく必要がある。
その努力や行動の道標となるものが目標です。
目標がないと、その先のどでかい目的を追いかけ方がわからず、皆バラバラになります。
では、具体的にOKRとMBOは何が違うのか。
次はそれを説明していきます。
主な違いは4つ

(1)会社目標と個人目標のリンク
MBOでは、あくまで部署で自分の役割の中で目標を決めて、上司とにぎって目標を追いかけることをします。
一方OKRでは、会社の目標が個人の目標に明確につながるように設定します。
それをすることによって、皆の目標達成が会社の目標に達成するという、目指すものが明確になるので、会社側・個人側も目標に対して達成させる為に動くという事をしやすくします。
(2)目標の難易度
OKRの難易度は会社目標もリンクしているものであるので、基本的に高めに設定する事をセオリーとします。
設定した時に、頑張れば60〜70%の達成度になるくらいの目標を設定します。
一方MBOは、基本上司と本人とで100%達成できるものを設定します。
(3)目標確認の頻度
MBOは評価制度の一貫として実施するので、基本的には半年、あるいは一年に一回、いわゆるその会社の評価期間の時にレビューをして、結果評価をします。
一方OKRは、個人の目標が会社の目標達成にリンクするため、月次や週次等細かく進捗確認をコミュニケーション取りながら行います。
(4)実際の報酬に影響するかしないか
最大の特徴と言えるのが、MBOの評価結果は、給与や賞与の支給額へ直接影響するものでありますが、OKRは、目標の達成を給与や賞与へは影響を与えないようにします。
OKRは、達成する事が困難な高い目標を設定する事が求められる。
その為、目標が未達になるケースが多いのに、それを給与・賞与へ影響するものとしてしまうと、上司も個人も達成可能な目標に設定してしまう為、あえてそのように設定しています。
MBOのみを採用した私の失敗談
ここで私が人事制度を導入した時の失敗談をお話したいと思います。
私が人事制度を導入した時の話です。
評価のツールを考えていた時に社長からもらったオーダーは、
でした。会社のニーズは、目標をコミュニケーションに活用する事
成長したい事の確認といえば目標。
目標達成の為にどうするかを確認する事。
私は目標と聞いてオーソドックスなMBOを採用し、提案し、評価制度に組み込んで、実施する事を遂行しました。
※その時の詳細は下記記事で紹介しております。
会社の方針や対応方法が、顧客の機微で大きく変化する仕事だった
私が人事制度を導入した会社は、高付加価値・高単価を追求して、高い顧客満足度をウリにしているサービス業でした。
人材が直接商品につながる会社でした。
個人の成長に大きな期待をしている会社であったので、MBOはピッタリであると思い、導入をしました。
しかし、そこで問題が起きました。
MBOでは細かい目標シフトに対応できない
1.の要因があったので目標自体がコロコロ変えざる得ない事が多く、MBOのオペレーションが、評価者・被評価者共にストレスフルだった。
2.の要因があったので、MBOで設定した目標がそもそも目指せるリソースを割く事が難しかった。
3.の要因があったので、自分の努力で成長というよりは、目標達成が”運まかせ”になってしまった。
MBOを運営していく上では不都合な事が頻繁に発生していました。
目標管理制度のみでやり続けた結果、評価制度が機能不全に

そんな状況の中でも私は、MBOを実施しつづける事で目標に対するコミュニケーションの機会が増やせて、人材育成につながる。
コレが社長が人事制度で望んでいる事であると言い聞かせ、特に代替案を検討せず、MBOを進捗管理することを啓蒙し続けていました。
結果、みんな疑問に思いながらやり続けていてはくれたものの、目標と現実がどうしても離れていってしました。
結果、当たり障りのない目標を設定したり、形式的な事だけを行うようになってしまい、人事制度導入から2年あまりで、MBOを実施する事を止めることになってしまいました。
OKRを採用すべきだった
誤解のないように補足しておくと、MBO自体は非常に優れた評価ツールです。
個人と上司とが目標設定能力と目標達成能力が養われ、セルフマネジメントとマネジメント能力という、ビジネスマンとしての必要スキルが身につきますし、組織活性化にもつながる有効手段です。
ですが、私が人事制度を導入した会社では、個人のスキル・成長が会社の成長につながるというよりは、
会社→部署→本人という流れが一貫している事が前提で、皆が成長できる業態でありました。
なので、OKRとMBOの違いの説明で書かせてもらった通り、MBOではなく、OKRが適していた会社であったのです。
私はそれに気づかず、運用する事にこだわり続けてしまった為、うまく行かなかったのでした。
まとめ:会社の方針に合わせた目標管理手法を選ぼう
今回のまとめです。
- MBOもOKRも目標を管理する手段であるが比較するとぜんぜん違う
- MBOは個人の目標ありきで設定し、達成をさせ成長する事を促すツール
- 一方OKRは、会社と個人の目標を意図的にリンクさせ、会社の成長と個人の成長が一貫している事を理解させて管理するツール
- OKRは会社と個人との動きが一気通貫している事で、双方の成長につながる事が明確な状況や職種、ビジネスで有効である。
- 以前の私の失敗は、OKRが向いているのにMBOを導入し、運用した事
- 運用した結果、評価制度自体を止めることになってしまった。
もちろん、社長や上司もMBOがあっていると思い、私の提案に乗っていてくれたので、私の100%失敗という評価にはなりませんでした。
が、もし私がOKRの仕組みを理解し、社長や上司に伝えられていたら、判断も変わっていたのではないかなと今でも思います。
なので、制度導入を考えていらっしゃる会社さんは、情報収集は欠かさずやる事。
もし制度を作った後でも、状況にふさわしい手段やツールを見つけたならば、たとえ今の運用を止めてでも導入を検討するという勇気を持ってほしいです。
以上になります。
最後までお付き合いくださりありがとうございました!