こんにちは!もしけです!
さて、今回は通称【労基対応】。
労働基準監督署の監督官が来た時のお話をさせて頂きます。
2015年暮れぐらいから、働き方改革、ブラック企業認定、2016年は、電通での事件を発端として、過重労働や残業での法令違反等を中心とした、国の施策強化。
2017年は、その法令違反を対象とした労基監査ラッシュ!
今、会社を運営する人にとって、企業で働く人にとって最も動向が気になる事って、労基と言っても過言ではないでしょう。
私は、実は労基監査に関しては、企業の窓口として、物凄い対応経験があります(自慢できることじゃないけど)。
経験のない人は正直面食らいますが、ポイントを抑えておけば、そこまでビビる必要もありません。
ご説明しますので、最後までお付き合いくださいませ( ・ω・)
目次
労基監査が入った時の流れ
ホントに突然やってきます!
お昼休み明けの一時くらいだったり、9時の朝礼終わった後くらいだったり( ;´・ω・`)
1つ確かなのは、どの労基監督官も、夕方五時までには必ず帰ります。
労基法の監督をしている方々なので、残業しているというを訪問先の会社に見せるということは、まずないわけです。
最初の調査自体は軽いものなので、長くても2時間程度です。
と、いうことは監督官が訪問してくる時間は、大体9時から15時の間です。
あと、12時13時の間は来ないですね。
あくまで、監督官の方は人事労務担当者に会いに来るのが目的なので、昼ごはん時は来ないです。
労基監督官の訪問を断ってはダメ!
「担当者は不在です。戻り時間未定です。書類関係はそのもの以外わかりません。」
普通の来客だったらいいかもしれませんが、監督官が実際に訪問しに来たら、すべての優先順位を一旦、労基対応にする必要があります。
なので、居留守はダメです!
それでも外出先でどうしても戻ることができない時に、連絡があったりしたら、上司に連絡して、対応してもらう事をお願いしましょう。
監督官の対応が自分以外にできない時は?
とはいえ、規模が小さな会社だと、人事労務担当が自分以外おらず、書類がどこにあるのか探せないという状況の方もいらっしゃるでしょう。
そういう時は、実際に労基監督官と電話でやり取りをして事情を説明しましょう。
外出先でも、急いで戻るべき事由なのですが、出張などで戻れない場合はやむなしです。
プラス、名刺交換は例え、人事労務担当が不在でも、その上の責任者クラス、役員、社長でもよいです。
ちゃんとお会いして名刺交換しておきましょう。
後程、担当の者から間違えなく連絡させるということを、労基監督官に伝え、安心してもらってください。
労基監査に使う書類は、いつでも出せるように
さて、実際に労基監督官とのやり取りですが、理由を必ず伝えてくれます。
従業員からの内部告発
規模が大きくなっているので臨時訪問などで来た などです。
続いて、労基監督官は1枚の紙を渡してくれます。
「この書類をお調べさせて頂きますので用意してください。」
書類の内容は
- 就業規則
- 給与規定
- 36協定(残業許可の役所提出済みのもの)
- 勤怠簿10名分(タイムカードとか)
- 賃金台帳10名分
がメインです。
他にも、会社が50名以上社員がいるなら
- 衛生委員会議事録
- 健康診断受診届出書
- 産業医選定届
などです。
労基監査は大抵2日間。初日は軽くチェック
実際に書類を用意したら早速書類のチェックを始めます。
チェックは用意できた書類から随時行っていきます。
ただ、このチェックは結構軽いです。
パッと見て、パッと気づいたことを労務担当に言うだけなんです。
「このAさんって人は随分残業してますが、繁忙期ですか?」
「この何とか手当ってどういう人に払ってます?」
「健康診断受診率があまり高くないですが、受けるように促してます?」
みたいな感じ( ・ω・)
2日目はガッツリ見る
初日に監督官に渡した書類は、
「詳しく見ますんで~」っといって監督官にお持ち帰りされます( ;´・ω・`)
その時に、別で訪問していい日を聞かれます。
大体三時間くらいの時間を求められますので、予定を空けてください。
可能であれば、人事労務担当役員や社長に同席してもらってください。
「お、この会社労基の仕事に協力的だな。」と思ってもらえます。
こういう細かい一つ一つの気配りが後々、大事になって来るんですよ。
2日目は、二人三人体制できて、片っ端からタイムシートと賃金台帳を見ながら、電卓を叩き始めます。
「追加でこの書類準備して~」など、その場その場で、色々追加で書類提出を求められます。
結構大変です( ;´・ω・`)
なので、初日に用意してって言われた書類ももちろん、人事労務関係の書類は、ちゃんとファイリングしたり、データの格納場所を整理したりをしっかりしときましょう。
書類提出を求められた時に
「すいません。今何処にあるかわかんないんですよ~」って言わないようにね。
監督官の方、気分が悪くなっちゃうんで。
書面をもらう
調査は2日間です。
2日目の調査が終わった後、
「ご協力ありがとうございました。後は監督署に持ち帰って、確認させていただきます。
調査の結果をご連絡したいのですが、2週間後の○日の○時から、来署頂けますか?」
みたいな感じで、労基に行く約束の日時をその場で設定します。
是正勧告書と指導書
約束の日時に労基を訪ねると、先日のフィードバックと、紙をもらいます。
その紙は大きく二種類です。
是正勧告書
会社が法律違反をしているという「警告」が書かれた書類です。
イエローカードですな。
「○月○日迄に改善する為の取り組みと、その取り組んだ結果を報告してください」
という文章です。
残業が多いっていう指摘で例えると、
「あなたの会社、残業が平均100時間くらいしてます。労基法は75時間までです(しかも年に六か月だけ限定で)。だから改善する取り組みをしてください。で、取り組みの成果を報告してください。」
っていう内容です。
指定の日付までに、会社として課題に取り組んでここまでやった結果、このように改善しました。
っていう実際に取り組んだ具体的な結果の回答が求められます。
書いてある事が、会社全体を巻き込んで取り組まなきゃいけない事が多くて、結構重めです。
指導票
このままだと、労基法違反になっちゃいますよ~っていう内容のものが書かれています。
是正勧告書と比べると内容は軽めです。
報告内容も、「指導頂いた内容を元にこのように検討中です。」でも、オッケーです。
労基は監査時、どこを見ているの?
基本は、労働基準法をすべてのベースにして、見る。
たまに、安全衛生法も突っ込んで見る。
それを土台に監査をしています。
そんな中、特に注意して見ているのが、違法な労働時間で社員を働かせていないかと、未払いの賃金があるか?の2つです。
何でこの2つのチェックが厳しいかというと、労基の監査が入ると必ずと言っていい程、どの会社でもこの二点は違反しているからです。
未払いがあるか?
例えば営業という仕事があって、外出が多く、一人ひとりの労働時間が把握しづらくて、【営業手当】という名称で手当を支給しているとします。
けど、この【営業手当】が残業何時間分を含んでいるかが、ルールとして定められていない。
でも一人ひとりの雇用契約は【1日8時間労働】の雇用契約である。
そうすると、残業した分に関しては残業代としてお支払いしなければいけないのに払っていない。
これが、【賃金未払い】として労基に指摘を受けるという形になります。
上記は、まだ可愛い方で、中には、残業をしている履歴がタイムカードでバッチリあるのに、残業代を支払っていない悪質な会社もあります。
意図的な未払いは、監査のプロである労基監督官は一発でわかるので、このような会社の場合は、労基は超厳しいです。
「二年間遡って、未払い分の残業代をすぐ支払って1か月後に報告しなさい!」という是正勧告書をもらいます。
ここに関しては容赦なしなので、すでに残業の未払いが会社にある事がわかっている担当者の方は、すぐに対応してください。
労働時間を違反していないか?
1日8時間を超える時間を、労働者に働かせる事は法律違反です。
つまり、残業って元々は法律違反なんですよ。
でも、働かせる側も、働く側にとっても、
「残業した方が、業務効率やお客様対応とかの面でお互いにとってメリットありますよね」
という、お互いの合意を書面で結んだ、いわゆる「36協定届」を結んで労基に提出して初めて、労働者に残業してもらう事ができます。
その届出の残業時間も「1日○時間まで」っていう制限があって、その制限を超えていたりするとこちらも、是正勧告書での指摘をもれなく受けます。
未払い賃金に比べると「いますぐやりなさい!」という厳しさはないです。
ですが、会社全体で、段階的に減らしていく取組みの実施と、その後の、労働時間の状況を短くても3か月くらい労基に訪問して報告する事を求められます。
指摘を受ける前に対応策は練っておきましょう。
労基届出が必要なルールを勝手に始めてないか?
さっき説明しました「36協定届」ですが、届出をしていなかったら論外です。
すぐに届け出るように求められます。
他にも、【裁量労働制】を導入して働かせているのに、裁量労働制の許可の届出をしていなかったりすると、会社で勝手にルールを使っているとみなされてこちらも是正勧告書で指導を受ける対象になります。
届出すべき書類は全部出しているか?
労基に提出しなければいけない書類って結構あります。
就業規則・給与規定などの、会社のルールはもちろんの事、健康診断の受診数の届出や、労災の報告書、産業医の選定届などです。
届出をしていないと、国に許可をもらっていないまま、労働者を使用してるとみなされます。
届出をしているかどうかはチェックしておきましょう。
ファイリングしてある履歴を見て、労基の印鑑が押されているかのチェックでも良いですし、労基に問い合わせれば、教えてくれますよ。
その他監督署で薦めている活動のチェック
ここは、労基が今後力を入れたい事の内容です。
是正勧告に比べれば、大したことないです。
私の時は、メンタル不調になる前に社員を、保健機関で運動しませんかっていう、セミナーの案内でした。
報告する時は、「はい、前向きに検討します」だけでOKです。
労基監督官も人間。誠実に真摯に対応すればOK♪
労基の監査は、かなり細かいです。
会社側が、気づかないであろう細かい所を見て、指摘して労基法通りに直していくのが、労基の仕事なので、当然ですが、その細かい内容をチェックするためには、会社の窓口担当が、どれだけ協力しているかに、かかってます。
全てを正直に答える必要はないですが、労基監督官に聞かれた事や、書類を追加で求められたりする場合は、素直に従ってください。
「あ、あれもお願いします」
「すいません、一個書類がもれてましたんで、こちらの提出もお願いします」
「このお給与の計算、一緒に電卓で計算してもらえますか?」
監査中だけでなく、労基監督官が帰った後も、問い合わせをバンバンもらいます。
正直、ウザいくらい・・・。
イライラします・・・。
でも、反抗したり、協力しなかったりするのは止めてください。
心証を悪くすると、後々良くないです。
あまりに悪質な事が重なると、最悪、経営者や、人事労務責任役員の書類送検や逮捕につながる可能性もあります。
それは、労基監督官が、会社に対する信頼感で決まるものなので、協力する姿勢を持ち続けていれば、問題ありません。
是正勧告書もらったらもらったで、ちゃんとその後、対策を練れば、何とでもなります。
労基監査というより、一人の人間と信頼を積み重ねるつもりで対応してくださいませ。
以上です!最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!