転職をしながら6社で、人事一筋15年以上やっているもしけです。
今回は労基署対応についてです。
こんなふうに思ったことありませんか?
労基対応を慣れているっていう人事担当者は、あまりいらっしゃらないと思います。
もう10年以上前になりますが、私は以前飲食チェーンの会社で1年間で10数回労基署から是正勧告書をもらい、是正報告書を提出するという経験をしております。
※そんな私のプロフィールはコチラ
イチ人事担当者としては中々レアな経験をしました。
結局労基調査は、あまり経験する機会がない&正解がわからなくて、先が見えないから不安なだけです。
実際はそんな心配はしなくて大丈夫!
むしろ、労務管理体制を改善できるチャンスです!
実際に私は前職で、労基対応を行った結果、会社全体の平均残業時間が約40時間以上削減し、平均公休取得日数が約2日増えたという前代未聞の改善結果を叩き出しました。
これは労基対応中だけでなく、その後私が退職するまでの約4年間、継続して数値の維持ができました!
労基調査はピンチではなくチャンス!
今回そう思える私の過去の実体験の話をシェアしたいと思います。
是非、最後までお付き合いくださいませ。
目次
労基調査前、労務管理改善が進まなかった。
前職のお話ですが、私は冠婚葬祭業の会社で、人事労務と制度企画を担当しておりました。
冠婚葬祭はサービス業、いわゆる労働集約型の業界で、働くヒトの労働時間が直接売上や利益に反映されやすい業界・業種です。
私の前職は高付加価値・高単価のサービスを追求する会社であって、自社サービスに、こだわる姿勢は半端なかったです。
社員の使う時間は長くなりがちで、長時間労働が大きな課題になっていました。
そんな中、私は人事として労働時間削減の為、人事制度の見直しと労働制度の見直しを構築していた最中でした。
数々の労働時間削減施策の打ち上げ花火とモグラ叩き
この時は、まさにトライ&エラーの繰り返しでした。
週次で各スタッフ毎の労働時間ランキングを出してみたり、月次で労働時間を予算立てしてレイバーコントロールを実施してみたり等、色々やりました。
※レイバーコントロールに関しては、下記にまとめております。
みんな意外と素直に協力してくれ、最初に2週間くらいは良くなったりもしました。
しかし、少しチェックから離れてしまうと、気づいたら元の状態に戻っている。
そんな事の繰り返しでした。
人事制度を作って労働時間改善
色んな施策を打ち出して、管理して、うまくいったと思ったら全然ダメ!
そんな事を繰り返しているうちに気づいた事がありました。
それは、そもそも労働時間を削減すると残業代が減ってしまうという事、つまり給料が減ってしまうという事です。
他社からすごく珍しがられたのですが、当時、スタッフが自分で申告(打刻)した勤務実績は認め、残業代はすべて支払っていました。
つまり
という構図が出来上がっちゃってました。
そこで、労働時間を管理する裁量労働制を導入。
且つ、人事制度を構築し、成果で評価する仕組みで今後やるという経営者のメッセージのもと人事制度を導入しました。
人事制度を作る時の順番紹介。一番最初はコンセプト設定しかないって話!
裁量労働制導入方法はポイント6点!労働時間削減にも効果ありです!
労基が来た

人事制度を構築し、これから労働時間も削減されるぞと張り切っていた矢先でした。
労働基準監督官が来社されました・・・。
監督官の方は、一通り挨拶と、会社に書類の準備を依頼し、後はこちらが準備するのをドシリと見ていました。
その後、見られたくない、皆のタイムシートを10人分くらい集めて、電卓をパチパチと叩き。
給与計算結果に載っている、全体の労働時間を見て。
その他36協定や就業規則等を目に通し、それらを持ち帰って帰って行きました。
臨検調査を終え、是正勧告通知をもらう
その3週間後くらいだったと思います。
労基に来てくださいと言われ、社長と人事担当の取締役と私の3人で行きました。
そしてしっかりと頂きました・・・。
是正勧告書・・・。
内容は
・36協定違反(過度な残業してます)
やっぱりね・・・。
他にも4つ程是正しなさいと言われたものはあったのですが、どれも大した事はないものでした。
社長と役員に報告、対策案を出す
是正報告のメイン内容は、残業削減。
もともと社長と役員ともに課題に思っていた事が正に労基に指摘されただけ。
そう思う事にして、私達3人は会社に戻る事にしました。
労基対応開始:3ヶ月間対策のPDCAを繰返す
ここから主にやった事は下記内容でした。
アナログではありますが、皆で思いつく事、すぐできそうな事を片っ端からやっていました。
そして、実践しては検証の繰り返しを行いました。
※レイバーコントロールに興味ある方は下記をご参考くださいませ。
最も効果的な施策発動!社長からメッセージ発信!
ここまででも、会社的にはやりきった感はありました。
が、まだ足りない!
トドメと言わんばかりに社長自らが、毎日朝礼代わりに従業員向けに送っていたメッセージツール
”社長だより”を使って、労基に是正報告書を作成する前の約一ヶ月間、毎日従業員みんなにメッセージを送り続けました。
こんな内容でした。
労基に是正報告書提出

そんなこんなで、3ヶ月間。
試行錯誤を繰り返し、月間残業時間の結果が3枚分溜まった時。
その結果を書類にして、労基署に是正報告を提出する日が来ました。
この3ヶ月間の結果は
3ヶ月前:月間平均残業時間 約80時間
前月 :月間平均残業時間 約35時間
全体で約45時間の残業時間削減となりました。
労働基準監督官大絶賛!褒められました!
この結果には、監督官も相当驚いておりました。
労働時間は偽装したものではないかと疑おうにも、パソコンのログや誰がどこで勤務しているかなどの詳細な事実情報を一緒に添付してました。
「是正勧告に対して、こんなに素直に受け止めて、ちゃんと対応してくれると思わなかったです。感心しました。ありがとうございました。」
監督官からの最高の評価コメントでした。
報告書提出後、職場の労務環境は継続的に改善した!
しかもこの是正報告で実施した施策が功を奏したようで、この後も労働時間が極端に戻る事がなくなりました。
みんな過度な残業をせず、休日もしっかり取るようになり、労基に提出した月間平均残業時間と変わりない時間をキープできるようになりました。
まとめ:労基調査はチャンス!大いに活用しよう。
- 労基の調査とその対応は、みんなやった事がないので不安
- だけど実際は、労基の対応をやる事で労務管理の改善につながる
- 私の事例:前職では、労働時間=良いサービスという価値観が根強かった。
- が、労基が入って、経営者が社員へのメッセージを習慣的に発信する事で、意識と行動が変化していった。
- そしてそれは、労基への報告のその場しのぎではなく、会社組織の変化に繋げられる。
私の場合は社長が主導で労務改善をやりたい言ってくれたので、正直運がよかった部分もあります。
私が飲食業界の労務担当していた時に労基が来た時、社長は
”我、関せず”
でしたからね。
人事責任者の方や担当者の方は、自分だけで対応しなければいけない事もあると思います。
そんな時でも、
というスタンスでやってみてください。
監督官も人間です。
きちんとコミュニケーションを取れば、必ず理解してくれます。
一緒に労働改善をしてくれる〜と思って接するぐらいがちょうどいいですよ。
以上になります。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!
※下記は実際に労基が来た時の対処法を書いた記事です。
更に興味がある方は是非見てみてください。